夢原夫婦のヒミツ
「……はい」

だけどはしゃぎたくもなる。大和さんと初めての旅行なのだから。

本場のソーキそばを食べて感激し、空港を後にして予定通り観光地を巡っていく。

だけど一日目は当時のまま残されている防空壕跡地や、ひめゆりの塔などを回り、戦争という歴史に見て触れて胸が苦しくなった。

「大丈夫か? 愛実」

「はい、すみません」

ひめゆりの塔で見た手記が辛くて、耐え切れずに泣いてしまった。

最後まですべての手記に目を通すことができず、ひめゆりの塔を後にした。

近くのベンチに腰掛けて、大和さんは私の涙が落ち着くまで背中を擦ってくれていた。

「なんか想像さえできませんでした。当時、私よりもっと年下だった人たちがあんな思いをしていたなんて」

「……そうだな。実際に見て知ると心が痛むよな」

「はい……」

これまで漠然としか知らずにいた自分が恥ずかしい。

「もっとちゃんと知らないとですね。帰ったら勉強し直したいと思います」

そう言うと大和さんは、私の耳元に顔を寄せた。
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