失翼の天使―wing lost the angel―
警察の人に車をお願いし、病院に戻ると初対面となる電話で指示を貰った賴真のお兄さんが出迎えてくれた。



「後は任せろ!」



「触るな!」



「小っさ;;」



「うるせぇよ!」



私の肩にポンポンと触れながら、ガッツポーズをするお兄さん。

すると賴真が突き飛ばすも、弟の様子に呆れながら白衣を靡かせて去って行く。



「よく頑張ったな」



「うん;;ありがとうだけど、座って休みたい;;」



「あぁ!入れ入れ!」



お兄さんが中へと引っ込む中、外で私の頭や頬を撫で回す賴真。

休みたいと言えば、誰のせいで戻れなかったのかと突っ込みたくなるような反応を示して自動ドアのセンサーに手を翳して空けた。



「お疲れ様、優海」



「お疲れ様でした」



姉や武藤君に出迎えられながらカウンターチェアーに座り、テーブルに倒れ込む。



「キャパオーバー……」



「着替えて来るから休んで来いよ」



「んー?良いよ、私は」



賴真の方が寝不足で疲れてるだろうし。



「大丈夫!俺も居るから!」



「来るの遅いですね……」



「や、ちゃんとドライバーの男性診たから!;;」



それでも遅いよ、宮本先生……;;
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