失翼の天使―wing lost the angel―
9†臨床研修



「以上。仕事に行け」



3日後。

起き上がれるようになった兄を中心にミーティングは終了。

どんな時もこんな時も、現れない部長。



「先生方、大丈夫ですか?」



「俺らの心配するなんて10年早いんじゃー!」



「重い!;;先生、クソ重いっ!!;;」



シフトの変更やらで、私たち3人は寝不足が続いて居た。

賴真は自宅が隣だし、私もここに3日間泊まり込みをしてる為、そこまで病院までの往復の苦労はなく済んでるけど、家庭持ちの宮本先生はちょっとキツそう。

それでも心配してくれる松枝君にちょっかいを出して楽しそうだし、気力で持ち堪えてるだろう。



「優海先生、お願いします」



「……副島君、行くよ」



「何でぇ!;;」



来院患者が来たのか、バインダーを手に走って来たナース。

私は副島君の首根っこを掴みながら、第一診察室へと入った。

デスクに置かれるバインダーに挟まる問診票を見れば、7歳男児が自転車でガラス戸に突っ込んでしまったとの事。

でも、救急車を呼ぶほどではないとお母さんが判断し、抱えて来たらしい。



「どうしていつもガラス……」



「凄い事。はい、頑張れ」



「うぜぇー!;;」



私を嫌そうに見ながら、患者さんを呼ぶ副島君。

処置の確認をして来る彼に一つ一つ頷き、診察は終了。
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