失翼の天使―wing lost the angel―
目覚めを信じてナースステーションへと戻る。

日勤は夜勤と違って、言ってしまえば暇だ。

今、問題視されてるタクシー代わりに救急車を使う人も昼間は居ない。



「優海先生。先生に会いたいって方がお見えですよ?何かフラついてるし、焦点合わないし、話し方もおかしい人です」



「“おかしい”なら診てあげれば良かったのに;;」



鷺沼先生の隣でボーッとしてると、お手洗いに行ってた副島君から来客を知らされる。

私の友人におかしな人は居ない筈だけど、暇だから今日はまぁ良い。



「……ゆーみぃ……?」



「……明日菜-アスナ-?何してんのっ!?」



待合に出て、名を呼ばれてそちらを向けば、椅子に座り損ね、床に豪快に尻餅を着いてる明日菜。

大学時代からの同期で、皮膚科医。

美容に重きを置いた医師として、開業医の美容整形外科に卒業後から勤務してる。

同期の中で、一番に医師という職業名に相応しいほどの稼ぎがある。

もしかしたらそれ以上か。



「何があったの?」



酔ってるのかと駆け寄るも、お酒の臭いは全くない。

酒豪である為に疑ったけど、これは睡眠薬や精神安定剤でも飲んだかも知れない。

稼ぎもあり、自由気儘な彼女は、一番平和に暮らしてると思ったんだけどな……。
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