失翼の天使―wing lost the angel―
「すみませーん!あ、ナガさん!」



「「…………?」」



…誰か本当に父親たちを……!;;



「ナガさーんっ!」



「ナガさんて呼ぶな!!……は?」



「お久しナガさん!」



「……“ぶりです”まで言いなさいよ;;」



「ぶりです」



…あたっ!;;

プチパニックに陥ってると、1人にしか呼ばれた事のないあだ名が聞こえた。

反射的に注意しながら振り返ると、研修医を示す白いユニフォームで立ってる、懐かしき男。



「医者になれたの?智也;;」



「お陰様で!」



「なっちゃダメでしょ;;」



「頭は良いので!」



アホでポジティブ、自意識過剰。

相変わらず幼さ残る笑顔を向ける、袴田智也-ハカマダトモヤ-、27歳。

成績が学年1位ながら、頭のネジが1本どころか数本抜けてる智也は、私の元彼の腹違いの弟でもある。

ご両親が離婚されており、元彼は母親に引き取られ、奨学金で医大に通った苦労人。

方や智也は弁護士のお父さんと、再婚相手であるこれまで弁護士のお母さんの間に生まれ、何不自由なく育ったボンボン。



「ここで働いてんの?;;」



「こう見えて、ここで医者してます!」



…どう見ても、それはそうでしょ!?;;
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