失翼の天使―wing lost the angel―
「あー、楽し!美味し!あんた最高っ!」



「……うぜぇ;;」



久々に人と酌を交わす楽しさから、上司とも忘れて調子に乗り出す自分。

わかって居るのにやめられないと、どこかで聞いた事があるけど、まさにそれだ。



「私、別に弱くないの!でも、楽しいの!先生と話してると、何か楽しいのっ!先生が居なかったら、救命も今も楽しくないの!!」



「わかったから、叫かない!;;」



「こんなデート、最高だっただろうな……」



「…………」



「先生は、私を等身大のままの私で居させてくれる。その優しさが、過去から解放してくれるんです。先生みたいな人となら、恋が出来そう……」



「…………。優海先生?;;」



「優海……」



「優海、寝てる?;;」



「寝てなぁい……」



…寝てませんよ……。



―――賴真SIDE



「……寝てんじゃねぇかよ……;;」



言うだけ言って、酔い潰れた優海先生。

普段の姿からは想像もつかないほど無防備さ。

残された日本酒を呑みながら、寝顔を見つめながら、彼女の心に寄り添えてない自分に溜め息が出る。

“先生みたいな人”と言ってくれたが、俺は何も出来てない。

ただ話してて、自分が舞い上がってるだけで。
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