失翼の天使―wing lost the angel―
「姉ちゃん、西側の駐車場にダチ着いたって」



「わかった」



渋滞し始める前に何とか出口に辿り着き、下道をしばらく走り、東側と西側にある駐車場入り口の案内看板を見ながら行けば、西側駐車場はまだ空いており、入り口ゲートからわりと近いところに停められた。

財布とスマホが入ったショルダーポーチを鞄から出し、コーヒーを飲んでから車から降りた。

湊が横でごちゃごちゃ言ってるのを無視して、ゲート前に居たお友達の親御さんと挨拶。



「だからお金!」



「それすら持たずに来たの?;;」



「くれねぇもん。あのババア……」



無視してた内容が、まさかの入場料からの請求とは思わず、呆れながら財布を出す。



「これで3枚買っておいで」



「賴真、大丈夫」



「良いから。出してやりたいんだよ」



「サンキュー!賴兄!」



「おっ?“賴兄”??」



「……2人して、単純だし;;」



とりあえずここは甘えるとしても、2人の単純さには呆れるしかない。

でも、隆寬さんは湊と合わなかったし、彼が大人過ぎたし、年頃って事もあり、賴真には甘えやすいのかな。



「ありがとう」



「おう!」



笑顔で湊の背を見つめる賴真に胸がほっこり。
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