ビターキャラメル ビター
もうとりあえず何がなんでもどんなでも大好きだと、私はこの歳上の男の人に望みのない恋をしている。


出会ったのは一年前。
好きになったのは、いつからだろう。
気づけば、そうなっていたとしか。




一年前、呆然としたまま雨降る夜の街を傘もささずに歩き、前述のとおり派手に転んだ。
うつ伏せのままやさぐれていたところ、そこは宗吾さんが店長を務める美容室の近くで、宗吾さんとその恋人が私に気づき、前述のとおり……捲れたスカートを直し、丸見えだったらしい下着を隠してくれたのだ。
言い訳をすれば、下着丸見えは自分で気づいてなかった。


全身ずぶ濡れの私を閉めたばかりの店内に招き入れてくれ、タオルや着替えを貸してくださったり色々お世話になりながら、おふたりのデートを邪魔してしまったことを詫びて、私は号泣していた。




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