その出会い、運命につき。
気持ちとの決別
仕事中、職場外へ出ることはあまりない私だけど、今日は処方箋を入れるファイルがたまっていたことと手が空いたことが重なって、それを持って隣接するクリニックへ赴いた。

うちの薬局と隣のクリニックは全くの別会社だけど連携していて、処方箋はクリニック専用のファイルに入れられて患者さんが薬局へ持ってくるのが主流だ。

ファイルの束を持ってクリニックの受付で手渡す。
ほんの数分もかからないこの外出だけど、仕事中に外の空気を吸うのはなかなかいいものだ。

秋の空は高くて澄んでいる。

クリニックの自動ドアを出たところで、歩道を歩く胡桃さんを見つけた。
相変わらずビシッとしたスーツ姿でかっこいい。

でもこんな時間にどうしたんだろう。
手にはピンクに花柄のエコバッグらしきものを持っている。

声をかけようとして、その足は急ブレーキをかける。
いや、むしろ私は身を隠した。

だって、胡桃さんの隣を可愛らしい女性が歩いていたからだ。
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