お見合い相手はエリート同期

「綺麗だね。知世。」

「まぁ。」

 気の無い返事にムスッとして声を落として不平をこぼす。

「つまんない?」

「いや。
 俺らの時はどうしようかって興味深い。」

 なんて返答していいのか困ることを言わないで欲しい。
 普通のトーンでそういうこと言うから調子狂うんだよね。

 本当、どういう熱量で結婚を考えてるのか不思議になる。

 澤口は何かを思い付いたような顔をして声を落として言った。

「俺に花嫁が綺麗だって同意を求めるのやめてくれない?」

「どうして?」

 それが結婚式に参加する醍醐味じゃなくて?
 私の感動にいちいち対応するのが面倒だからそう言っておけって思い付いたような態度が気に食わない。

 私が不貞腐れそうになっていると続けて澤口が耳打ちした言葉に顔を赤くするはめになった。

「俺、花嫁より自分の隣にいる奴の方が綺麗だって思うくらい空気の読めない奴だから。」

「………何、それ。」

 私の動揺を確認して「フッ」と満足そうな笑みをこぼす。
 またからかって遊ばれた。

 気持ちを伝え合っても私と澤口は変わらずこんな感じ。

 甘いクリスマスイブを過ごすなんて遠い夢かもしれない。
 やっぱり性格的に無理なのよね。

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