パクチーの王様
夜、二階の廊下を歩きながら、芽以は思い出していた。
自分を見つめ、
「好きだ、芽以。
ずっとお前のことが好きだった」
と言った圭太のことを。
だが、芽以の心に引っかかっていたのは、告白してきたときの顔よりも、
「……なんだ、言えたな。
今、言えなくてもいいのに。
今、言っても、どうにもならないのにな」
と呟き、寂しそうに笑った顔だった。
芽以は無言で廊下を歩き、無意識のうちに、逸人の部屋の戸をノックしていた。
「はい」
と返事があった瞬間に開け、部屋に入ると、なにも考えずに、スポッと寝ている逸人の腕の中に収まった。
うわっ、と逸人が声を上げる。