パクチーの王様

 娘はやらんとか、言い出さないだろうか。

 いや、やらなくてもいいのだが、揉め事は嫌いだ。

 なんでも、なあなあな感じで、ゆるっと生きていきたいと思っている。

 だが、それが悪かったような気もしている。

 圭太が時折、思い詰めたような顔をして、自分を見つめてくるのに気づいてなかったわけでもないのに。

 口に出して訊いたら、すべてが終わる気がして、言い出せなかった。

 いやまあ……彼を好きだったかと問われたら、よくわからないのだが。

 圭太が居て、みんなが居て。

 そんな、ずっと続いてきた、楽しい日常が消えてしまうのが、きっと嫌だったのだ。

 そんなことを考えながら、芽以はふたたび、父を見た。

 自分とちょっと似たところのある父親は揉め事を嫌うので、娘をやらんとは言わないだろう。

 でも、腹の底では不安に思っているはずだ。

 こんな婿で大丈夫だろうかと。

 なにしろ、婿の方が立派すぎる。
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