【短】君が撮る秋空に、わたしの恋心が浮かんでる。
***
天気は快晴。
雲ひとつない空に反するように、わたしの心は曇天。
今日が来なければいいのにって何度も願って、叶うはずがないことも知っていた。
それでも待っている。
わたしはずっとこの日を待っていたんだ。
あなたに会いたくて……。
「久しぶり、美樹《みき》ちゃん」
現れた彼にわたしは会釈だけで返す。
ちょうどお昼。庭で採れたみかんを食べていた時。変わらぬ時間に来た大空《そら》くんが満面の笑みでカメラを構える。
「何してるの」
「みかん食べてる美樹ちゃんを撮ろうかと思って」
「バカ」