mirage of story
真実の代償
〜1〜





歩いて、ひたすら歩いて。
歩いて歩いて、また歩く。



でも目の前に広がる景色は変わらない。


続く乾いた大地。
そして天に広がる空。

大地の茶色と空の爽快な青のコントラストに、嫌でも目が慣れてきてしまう。







メリエルを発ってもう何日経ったか分からない。
初めのうちは過ぎていく時を数えていたけれど、途中からそれも面倒になって止めてしまった。

野宿をしたり、行く先で見付けた粗末な宿屋に泊まったり。
正直、日にちを数える体力も精神も残ってない。



しかもその上、初めは馬車を使っての旅路だったのだが、路銭調達のために立ち寄った小さな町で売り払ってしまった。

なのでそれからは、完全なる徒歩での旅路。
疲れは蓄積されるばかりだし、未だ目的地は見えずに心も折れそうだ。








カツッカツッ。

カツン....カツンッ。


乾いた大地の上で淡々と響くのは、四つの影が織り成す足音。
少し速めの足音。そしてそれに少し擦れて遅めの足音が続く。









「..........少しこの辺りで休みますか?」



カツンッ。
速い足音。先を行く二つの影のうちの一つが立ち止まり、不意に後ろを行く二つの影を振り返り言う。


感情なく淡々とした声。
ロキは疲れた様子もなく、遅れ気味に歩くシエラとカイムに言う。





 
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