社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 この人、本当に弁護士なの……?

 わが社の敏腕営業マンの顔が思い出される。ベクトルは真逆だけど、初対面の相手に対する失礼具合ではこの弁護士さんも名取さんに負けていない。

「そうだ。お前ら、今度うちのECサイトでユーザーのレビューを掲載するから、お前たちも……」

 社長が壁にもたれたまま仕事の話をしかけたとき、正面から甲高い声が聞こえた。

「新井さん! 来てくれたんですね!」

 現れたのは、大胆にデコルテを露出したオフショルダーのワンピースを着た女性だった。茶色のたっぷりした髪に隙なく施されたメイク。LANAの女性担当、小柳さんだ。

「……こんばんは」

 如才なくビジネススマイルを浮かべる社長に倣って私も頭を下げたけれど、彼女の目には当然ながら社長しか映っていない。すぐ傍のソファにはほかのイケメンも座っているというのに、小柳さんはうちの社長だけをロックオンしている。

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