社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
面倒そうに髪をかき上げ、ネクタイを締める姿にくぎ付けになる。そのままスーツブランドの広告に登場してもおかしくないくらい似合っていて、目眩がしそうだった。
「あ、優志くん。準備できた?」
洗面所から出てきた新庄さんが、すかさず彼の腕を取る。
「それじゃあ、行きましょう。みんな、またね。来週もう一度顔を出すわ」
そう言って、新庄さんは社長を強引に引っ張りながら玄関を出ていった。ふたり並んだ後ろ姿が、やけに目に焼き付く。
「うっわ、めちゃくちゃお似合い……思わず見惚れちゃった」
板倉さんの明るい声に我に返る。私は自分の指が震えていることに気づいて、慌てて反対の手で隠した。
各々席に戻っていく社員たちの声が耳に張り付く。
「やっぱり素敵だわ、あのふたり」
「本当にね」