社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 フロアにいきなり怒号が飛んで、びくりと肩が跳ねる。振り返ると、社長室から顔を出した新井社長が右手に掲げた用紙をぴらぴら揺らしていた。

「あ、俺です」

 手を上げて椅子を立ったスーツの若い男性を、社長が鋭い眼光でにらみつける。

「お前か、名取! 名前が抜けてるぞ! 小学生みたいな間違いをするな!」

「すすすすみません! すぐ直します!」

 社長室に戻っていく大きな背中を、呆然と見つめてしまった。

 社長って、怒鳴ったりするんだ……。

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