君が夢から覚めるまで
18.バンガローの夜
「香帆ちゃん、荷物持ってきたよ。俺たちのバンガローあっちだから」
「え?」
はい、と手渡された鍵を見て香帆は立ち止まる。
「…俺、泊まりって言ったよね?」
「あ、うん…」
両手に自分と香帆の荷物を持った怜の後ろを香帆はついて歩く。
「ちゃんと言わなかったのもいけないけど、2人で一つのバンガロー借りてるから…良いよね?」
バンガローの入り口に来て、怜が香帆を見つめる。
今まで、それを避けていたわけではないが、なんとなくそんな気分になれなかった…。
だが、二人でお泊まりするってことは、そうゆうことだ…。
「あ、先輩〜!」
怜が香帆越しに手を振る。
振り返ると、隣のバンガローの入り口には和馬と涼葉が立っていた。
よりによって何故隣の部屋なのか…。
怜に気付くと和馬は手を挙げ、そそくさと部屋に入って行った。
涼葉が後に続く。
バンガローは8畳ぐらいの広さで、小さなテーブルと隣には布団が畳んで置いてあるだけだった。
「わぁ…思ったより狭いね」
「うん…そうだね…」
香帆は何故か、和馬と涼葉が一緒に部屋に入って行く光景が目に焼き付いてしまっていた。
ーーーもう、関係ないのに…。
「お風呂は母屋のを使うんだって。どうする?もう行く?」
「そうだね。じゃ、準備しなくちゃ…」
香帆は怜に背を向け、風呂の準備をし出した。
「香帆ちゃん…」
突然後ろから怜に抱き締められて、ドキンと心臓が跳ねた。
「いいよね…俺たち付き合ってんだからさ…」
耳元で怜が囁く。
僅かに息がかかりゾクゾクする。
「香帆ちゃん…?」
「れ、怜君!お風呂、お風呂行こ‼︎」
「うん、行こ」
何かをごまかすかのように、笑ってみせた。
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