君が夢から覚めるまで
遂に…怜と結ばれる…。
怜はずっとこの日を楽しみにしていたのだろう…。
いつかはこうなるとは分かっていたが、何故よりによって今日なんだろう…。
何故、和馬と再会した日なんだろう…。
湯に浸かりながら香帆は溜息ばかりついていた。
「香帆さん」
髪を乾かしていると、後ろから声を掛けてきた女性が鏡に映った。
が、その女性に見覚えがない。
「あは、やっぱり分かんないです?涼葉です」
「…えっ⁉︎涼葉ちゃん⁉︎」
涼葉と名乗ったスッピンの女性は…眉毛は殆どなく、パッチリ二重は重たい一重になっており、長い睫毛は無くなっていた。
「え?えっ⁉︎」
あまりの変わりぶりに香帆は動揺を隠せないでいた。
「そんなに驚かないでください」
「だって…」
「あは、ですよね。でも、香帆さんはスッピンもすごくお綺麗ですね。そのまま怜君に見せても大丈夫そうですね。私は流石にこのままじゃまずいから、軽く化粧しますけど」
「せっかく洗ったのにまた化粧するの?」
「だって、こんな顔、和馬君には見せれないですよ。どうせ抱くなら可愛い彼女の方が良いでしょ」
ドウセダクナラ…香帆は雷に打たれたような気持ちになった。
今夜、和馬は涼葉を…。
恋人同士が夜、二人っきりの部屋でやる事なんて限られてる。
そんな事、十分分かってるのに…。
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