流星サイダー
「…は、離して、」
自分でも驚く程、弱々しい声が出た。
「何で?」
でも、壱星はその真っ直ぐな視線で
あたしを離してくれない。
手を掴む壱星の力が、ぐっと強さを増して。
飲み込みそうになった言葉を
負けずにあたしも繰り返して告げた。
「いいから、離して…っ!」
「嫌だ。」
強い、声。
そして、黙ったあたしに
壱星は声色を変えず、もう一度言った。
「嫌だ。」
まるで、心臓までも
壱星に掴まれたように、あたしは動けない。
そのまま吸い込まれるように
引き寄せられた壱星の腕に、抱えていた荷物が地面に落ちる。
「壱、」
「もう、離さねーし。」
幼なじみだと思っていたはずの壱星の腕は
知らない間に、すっぽりとあたしを包んでくれる
しっかりとした男の子になっていて。
「好きだ、流璃。」
「……壱星…。」
掠れたその声は、泣き虫だった昔の壱星じゃなかった。