お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
少しずつ縮まるふたりの距離


「うわぁ、千花、それすっごくいいと思う!」


東子が興奮して声を上げたのは、ハートウエディングの広いフィッティングルームだった。
純白のウエディングドレスから色とりどりのカラードレスはもちろん、白無垢や色打掛などがめいっぱい展示され、とても華やかな空間になっている。

今日は千花の衣装合わせの日だったが、修矢は仕事の都合がつかず、東子が代役を買って出てくれたのだ。

あこがれのエンジェル・ウィンストンで婚約指輪を注文し、ふたりで暮らし始めたのが十日前。

なにしろ式まで時間がない。忙しい修矢に変わって千花がひとりで動くことも多く、この頃はわたせキッチンも手薄状態。千花の結婚に向けて、人を雇おうかという話にもなっている。

修矢との同居は、当初の約束どおり実家との行き来で半分ずつ。幸助と美幸には、修矢のところに行きっきりでもかまわないのにと寂しいことも言われているが……。

あくまでも結婚前。言いだしっぺの責任があるのだと、きっちりと半々にしているあたり、自分でも少し頑固かとは思う。

そう感じるのも、修矢との同居に嫌悪感を抱かないせいかもしれない。

(嫌悪感よりはむしろ……好ましい? ううん、違う違う。違うんだから)

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