お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
「過去は過去。千花は絶対に幸せになれる。その価値があるんだよ」
力強い幸助の言葉にも救われる思いがした。
千花のこの二年は、長く薄暗いトンネルの中を歩いているような気分だった。胸の痛みは随分と和らいでいるが、ふと思い出したときに猛烈な嫌悪感に襲われた。
なんとか笑えるのは、誰かと一緒にいるときだけ。明るく振る舞うことで忘れていられた。
でも、こうして幸助と美幸の言葉が胸に響くようになったのは、いい兆候と言えるのかもしれない。それまではどんな言葉を掛けられても、心にふたをして締め出してきた。誰もなんにもわからないくせにと。
そうせずにいられるということは、そろそろ本当の意味で吹っ切るときなのかもしれない。
「……お相手って、どんな人?」
「おっ、ようやくその気になったか!」
幸助と美幸が顔を見合わせて笑う。
「実は、ちょっと前にある人と偶然『一休』で知り合ったんだよ」
幸助は身を乗り出すようにして話し始めた。とてもうれしそうだ。