お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました
千花は手を出して受け取ろうとしたが、修矢はそれをそのまま千花の髪に戻した。いきなり修矢が接近し、嫌でも心臓のリズムが狂う。
「断るつもりはない」
「えっ……どうしてですか?」
恋人はいないと修矢の両親は言っていたが、親に内緒にしているだけで本当はいるのではないか。無愛想なのはともかく絶対的にモテる容姿と肩書きが、千花にそう思わせる。
「キミは結婚したいんだろう?」
質問に質問で返された。
(お父さんってば、そんなことまで話しちゃったの!)
恥ずかしかったが、そこまで聞かされているのなら、ここで隠し立てしても意味がない。
「そ、そうですね。両親のような仲良し夫婦に子供のころから憧れがあって、昔から結婚願望がすごく強くて……」
大好きな人と結ばれて、泣いたり笑ったり、時間をふたりで紡いでいく。そうして過ぎていった時間をときどき振り返って、あのときはこうだった、このときはこうだったと話す時間の愛しさは、幸助と美幸から教えてもらった。