お見合い婚 俺様外科医に嫁ぐことになりました

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わたせキッチンの閉店は午後八時。千花がその時間まで店に残っていることは少なく、幸助に閉店作業を任せて、たいてい七時半には美幸と帰宅して自宅のキッチンに立つ。

今夜は千花特製のキーマカレー。クミンやコリアンダーなど四種のスパイスを使っただけでキーマカレーが出来上がる。下ごしらえは朝のうちにしてあったので、材料を炒め煮するだけだ。

別のフライパンで炒めたひき肉を投入し、千花が仕上げにかかっているときだった。インターフォンに呼ばれて千花が玄関へ向かう。


「はーい」


モニターの確認もせずにドアを開けた千花は、その場で固まってしまった。


「……え、どうしたんですか？」


千花が驚くのも無理はない。修矢がそこに立っていたのだ。
目を瞬かせて千花が修矢を見る。


「連絡先を聞きそびれた」
「あっ……」