年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
私達は再会と就職を祝して二人で飲み会をやった。
その時に、私の方が二歳年上だと判明した。


「驚いた。年下かと思った」


彼はいい意味で間違えた、と言い、私はそれを拗ねることもなく聞き流し、自分の方も彼が年上か同い年かと思った、と話した。


そこで、私達は過去に勤めていた仕事の話をした。
私が銀行の本店で融資課にいたと言うと、彼は凄いじゃん、と驚いた。


「銀行の融資課に配属されるなんて優秀だよ。君は余程上司に気に入られてたんだな」

「そんな事ないよ。単に英語が得意で、英会話の力を求められただけ」


しかも、会話らしいことはせず、海外の通貨単位を連日馬鹿みたいに言っていただけだと話すと、彼はそれなら自分とあまり変わらないと言って笑った。


「俺も英話力だけで北芝に採用されたんだ」


前職で海外支社に勤務していた経歴が買われ、外国の営業マンとの交渉役として活躍を期待している、と言われたらしい。


「貴方こそ凄いじゃない」


私は今回ただの事務職よ、と言って讃え、頑張ってね、とハッパをかけた。
それから二人で定期的に飲み会をしようと約束して、一緒に過ごす時間を持つようになったんだ。


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