年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
「向こうからは何も望まれないのか?相手を期待させた挙げ句、振るのだけは可哀想だぞ」

「振るなんてそんな…俺はそこまで薄情な男じゃありませんよ」

「だったらあまり待たせないことだな。俺は君の様に相手をいつまでも待たせて、結局逃げられたって話は幾らでも聞いたことがあるぞ」


世の中の女性はそう甘くないんだ、と呟き、「さっさと決めてしまえ」と言い渡されてしまう。


「相手の身にもなってやれよ。女の一番いい時期を君にずっと捧げてるんだからな」


呉々も逃げられるな、と言い続け、ゲートの外で待っていた奥さんに手を挙げた。


「それじゃな」

「どうも。お疲れ様でした」


ゲートを出ずに頭を下げ、奥さんに走り寄って行く城島さんの背中を見送る。
彼はぎゅっと相手の肩を抱くと頭を擦り寄せ合い、嬉しそうに微笑むと歩き始めた。



「本当にラブラブだな」


もうアラフォーなのにな…と多少呆れながらゲートを進み、地下鉄乗り場へと歩き始める。

雑踏に紛れながら頭の中ではさっきの城島さんの言葉を思い出し、ふぅ…と小さく溜息をこぼした。


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