年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
それなら注文し直そうか、と言い出す彼に慌て、そうじゃないからいい、と止める。
輝は、だったら何?と言いたげにこっちを振り返り、私は困った様に首を傾けた。


「望美?」


不思議そうに名前を呼ぶ輝に目を向ける。
物腰の柔らかい彼が、あれほど怒る相手って一体……


「…いいの。さっきお風呂で逆上せたからワイン飲んでも大丈夫かな、と少し不安になっただけ」


気にしないで…と笑顔を見せると、彼はなんだ…という感じでホッとする。


「心配なら程々に飲んでおけばいいよ」


自分もそんなに飲む気はない、と話し、運ばれてくるコース料理に手を伸ばす。

あっさりとしたコンソメスープにサラダ、地元特産の魚料理に国産牛のローストが届き、ラストのデザートまでもをパクパクと食べて平らげた。



「……美味しかった」


デザートのケーキを食べ終えてフォークを置き、ご馳走さま…と手を合わすと輝が笑う。


「早かったな」

「何だかとってもお腹が空いてたみたいで」

「着くなり運動したからか?」

「…それは、まあ、そうかもしれないけど…」


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