無現実 名の知れた月
名月は歩くのをやめた。続いて人の子姿の鬼も立ち止まった。

名月は後ろを振り返り人の子姿の鬼を見た。


その鬼は見た目の異様な、背の低い丈夫そうな痩せ型の子供だった。髪が不揃いに切られて肩につくかつかない位の長さ、綺麗とは言えない黄色にも見える茶髪で手入れをしてないように見え傷んでいる。
大きく見開かれている紅い目に、笑っているようにも見える大きい唇はどこか狂気を感じさせた。

服装は薄汚いが動きやすそうな茶色の薄い生地の無地の半そでシャツ、茶色の無地の半ズボン。靴は履いていなく裸足。

「・・・鬼気って鬼、知ってるか」

「あたしだよ!」

元気な声で言った。何故だか笑っている。
名月は目を細めて警戒を強めた。

名月と鬼気の周りを鬼たちが囲んでいた。

鬼たちがの声が聞こえる。

”おいしそうねぇ”

”なんでこんなところに人間が・・・”

”あの汚い錆は・・・”

”鬼気が相手じゃ、あの世すらいけないな”

鬼たちの言葉を聞いて名月の心臓の鼓動が乱れた。深呼吸をして整えようとしたがうまくいかない。

鬼たちはどうやら観客のようだ。

「おねぇちゃん、勝負しよ!」
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