【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
熱のせいかもしれないが、あからさまに反応する姿は、いつもの和泉ではない。
全力で否定するところも変だし……
「そうじゃないけど……なんか、わかんなくてあの人」
「え?」
「……やっぱいい。もう寝る」
……和泉?
寝返りを打ち、俺に背を向けた和泉の姿に、ふぅ……と息を吐いた。
お前の方がわかんないって……。
「ほんと気分屋だな〜」
自分から聞いたくせに……。でも、和泉がこんなこと聞いてくるってことは……
ーー気になってる、のかな……静香さんの、こと……。
「うるさい。もう行けよ、移んぞ」
「はいはい、おやすみ」
「ん」
俺は立ち上がって、和泉の部屋を出た。
……なんだ、ろ……これ。
さっきから……心臓のあたりが変だ。