【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
ケンくんなんか……リナちゃんと別れたこと後悔すればいいんだっ……。
あんな良い女の子、いないんだから……っ。
もうケンくんとリナちゃん、極力鉢合わせないようにしなきゃ。
リナちゃんは……傷ついてほしくない。
大事な大事な人だから……。
どうしよう……涙が止まらない……仕事しなきゃいけないのに、こんな状態じゃ戻れない。
早くしなきゃ、健太くんにも迷惑が……
「静香ちゃん……!!」
——え?
私の名前を呼ぶ声に、反射的に顔を上げる。
視界に入ったのは、息を切らした佐倉先輩の姿だった。