【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
「わ、わたしもっ……リナちゃんが大好きっ……ありがとう……」
「よしよし、好きなだけあたしの胸で泣くといい。このまな板に顔を埋めて泣きなさい」
謎の言葉を残し、私の頭を撫でてくれるリナちゃん。
失恋してしまったけど、こんなに素敵な友達に支えられているんだと、再確認させてもらえた気がした。
もう、うじうじしない……
和泉くんのことも、ちゃんと……
この恋心に、蓋をする。
* * * * *
「ごめんね……ありがとう、もう大丈夫っ」
ハンカチで涙を拭って、リナちゃんに心からの笑顔を向けた。
「そう?辛い時は、ちゃんと言うのよ」
「うんっ……!」
「それじゃあ、教室戻りましょ」
暖かい笑みを浮かべるリナちゃんに深く頷いて、サッカー部の部室を出た。