【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
それは、真っ先に「ありえない」という言葉が浮かぶほど、衝撃の言葉だった。
和泉くんが、私を好き……。
ありえない、そんなの、絶対にありえない。
さっきからおかしいとは思っていたけど、これは夢に違いない。
だって、和泉くんはこんな優しい眼差しを私に向けない。
和泉くんは私が嫌いで、避けていて、なのに……
……信じ、られない。
夢だと確信した私を置いて、和泉くんは話を続けた。
「初めてあなたが花壇に水をあげているのを見た日から、本当は惹かれていました」
花壇……?
私が水をあげているのを、どこから見ていたんだろう……?
……って、ダメだ。これは都合のいい夢。
現実じゃないんだから、信じちゃダメ。
そう思うのに、私の頬に重なる手から伝わってくる温もり。