【完】無自覚な誘惑。〜俺だけを見てよ、センパイ〜
一瞬何が起きているのか、俺が見ているものは幻では無いのかと、自分自身を疑いたくなった。
だって、視線の先にいたのはーーー俺の頭に焼き付いて離れなかった、彼女だったから。
嘘だ。
ありえない。
あんなにも優しそうに微笑む彼女が、『静香先輩』なわけが無い。
あんなにも愛しむように花を見つめる、優しい瞳の彼女が、そんなーー……
「なぁ、今の誰?」
誰かに嘘だと否定して欲しくて、目の前のやつに問いかけた。
「は?お前静香先輩知らねーの!?2年のマドンナ!花染静香!」
返ってきた答えを、まだ頭が受け入れようとしない。
「……それって、男関係緩いって言われてる人?」