嘘の続きは

映画祭

物事が予定通りに運ばないなんてことには過去の経験から慣れているはずだが、今回に至っては気ばかりが焦る。

LARGOの担当につけていた事務所スタッフのひとりが足首を捻挫してしまい今日のレッドカーペットでの警備兼連絡係ができなくなってしまっただけでなく、明日に予定されているライブ会場の電気系統のトラブルでその対応にもスタッフが何人か取られてしまった。

完全に人手が足りない。

俺の予定ではまず朋花と姫の二人が会場に来たところを捕まえて護衛を兼ねて側にいるつもりだったのだが、俺もレッドカーペット上のLARGOの警備担当を務めなければならなくなり二人を捕まえることができない。おそらく明日もそうだ。

二人とも昨夜のうちにスタッフパスを真紀から渡されているため会場内のどこにも出入りできることが災いしていた。
真紀から二人には西隼人の映画スタッフに紛れて入場するように指示が出ていたはずなのだが、俳優陣の後ろで入場した映画スタッフの中に二人の姿がないのだと真紀のマネージャーから連絡が入ったのだ。

あいつらはどこに行った。

真紀は既に夫の西隼人にエスコートされ、西の映画スタッフと共にレッドカーペットを歩いて入場している。

会場内には多数の警備スタッフが配置されていて滅多なことはないとは思うのだが、彼女の姿を確認しなければ安心もできない。

既に会場入りしているのかもしれない。
いや、もしかしたらどこかで呑気にレッドカーペットを眺めているのかもしれない。

ああイライラする。

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