マリッジリング〜絶対に、渡さない〜
 
 
『たまごとハムとチーズのホットサンドがいいー!』


大地の答えなど聞く間もなく、亜矢のそんな声がお構いなしに割りこんできて。

その瞬間、亜矢以外の私たち三人は揃って吹き出すように笑ってしまっていた。

そして亜矢を抱いていた大地は、至近距離で亜矢と目を合わせるとわざとらしく驚いた表情をして。


『すごいなぁ亜矢!パパもホットサンドがいいなぁって思ってたんだ』

そう言って優しい笑顔で笑った。
すると、その言葉を聞いた亜実がそれに続く。


『亜実も!ホットサンド食べたいなぁって思ってた!』


悔しいけれど、今は…彼女のことは忘れて、この時間を大切にしよう。


『実はママも、ホットサンドがいいなぁって思ってたんだよ!』

『わーい!みんないっしょだね!』


家族揃って笑い合える。
それが一番の、幸せだと思ったから。

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