マリッジリング〜絶対に、渡さない〜
 
 
その後、学校へ行く亜実を送り出し幼稚園バスの停留所まで亜矢を連れていくと、先に着いていた景子と玲ちゃんがいつものように私に声をかけてきた。


『あ!亜紀おっはー!』
『亜紀ちゃんおはよー!』


普段と同じ、朝の光景。
明るい二人に迎えられると、私も自然と笑顔になれる。

おはようと返しながら二人のそばに立つと、手を繋いでいた亜矢も子供たちの輪の中に駆けていった。

それから三人で何気ない世間話をしているうちに送迎バスも到着し、ぞろぞろと乗り込んで行く後ろ姿を見送ると、朝の任務は完了。

ようやく慌ただしさから解放されたこともあり、ホッとひと息ついた。

…その時だった。


『おはようございますー!』


背後から聞こえた甲高い声に振り向くと、彼女…リュウ君ママが、こちらに向かって笑顔で歩いてきた。

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