隣人はクールな同期でした。
そう言ったけど
コイツの表情が変わるワケでもなく
至って冷静なまま。


「じゃぁ、な」


って、またアタシに背を向け歩き始めた煌月は
次はもう振り返る事はなかった―――


そんな後ろ姿を見ながら
アタシは複雑な気持ち。

ねぇ煌月…
アンタ、なんか
やっぱちょっと変わった気がする。

早乙女さんに対しての
自分の本当の気持ちに気付いたのかもしれない。

…そう思っていたのに。
なのにどうしてアタシに言ったの。
『キス、したくてしたんだ』
なんてさ…

アンタの心が
こんなにわからなくなったのは
初めてだよ。

煌月…
どうしちゃったのさ……―――



そんな答えがわかるワケもなく
アタシのモヤモヤした気持ちが
一切、晴れる事もなく
こんな時でも仕事は入る。


「またこの時期…か」


広報課長から手渡された1枚のポスター。

来週行われる夏の大イベントの1つ
全国でも指折り数える有名な花火大会だ。

そしてアタシは毎年
各地の花火大会も含め
この特集を書いている。

そんなに好きなワケでもないのに…。

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