時には優しく…微笑みを
♪♪♪♪♪♪♪

誰よ、電話なんて…
手探りで携帯を探すも見当たらない、あれテーブルがあるのに、なんでないの?携帯を探す手が空を切った。

「あ!」

そうだ、昨日火事にあったんだ。

あ、今何時?慌てて携帯の時間を確認した。

7時50分

「遅刻!」

寝ぼけていた頭もスッキリ覚めた。
いつもの私が行っていた、コースじゃない、乗換えが2回!
顔を洗って化粧だけして、駅に向かった。

「はぁはぁ、間に合った…」

時間ギリギリ、間に合った。

「櫻井さん、昨日どこ泊まったの?」

「え?」

慌てて、走り込んだ私を見た、2期上の新城さんが、笑って話しかけてきた。

「昨日と同じじゃない?服、彼んとこにでも泊まったの?」

彼のとこ?
なんでやねーん!
ノリツッコミしたいわ!

「いや、そうじゃなくって、いろいろありまして…」

「そうなの?お泊りしたのかと思ったわよ」

「はぁ…」

そんなんだったら、どんなにいいか。
頭の中で、スーツも買ったらお金いくらあっても足りないと計算が始まっていた。

お昼…
社食で一番安い日替わり定食を食べていると、同期の七海が血相を変えてやってきた。

「朋香!あんた、大丈夫だったの?」

「ん?何が?」

「何がじゃないわよ!マンション火事にあったって、朝ニュースで見たのよ!あんたのマンションでしょ、あれ!」

「あ、見た?そう、凄かったよ。燃え方が…全焼だし。なんにも残ってないの」

「昨日はどこ泊まったの?」

「ビジネスホテル。保険で補償はされるみたいだけど、お金欲しいのは今だからねぇ。あ、七海!あなたの所に何日か泊めてくれない?」

「えぇ!私の所…」

明らかに嫌そうな顔をした。

「ごめん、私同棲中なんだ。私だけならいいよ、って言うんだけど、ね」

「…だよね、ごめんね」

「ううん、ごめんね。こんな時に助けてあげられなくって」

仕方ない…

それよか、早く住める所探さなきゃ…
うーん。
休んで探しに行きたいな…
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