扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「気にしなくていいよ、あいつらいつもあんなんだから。でも、あれで仲良いのは本当よ」



白砂芽先輩が横に来て、こそっと漏らす。



「そうなんですか?」



「うん、ほら」



そう言って、後ろを振り返る。



「るーかーくん?今のどういう意味?」



「えっそのままの意味じゃん」



「失礼すぎじゃない?」



「そんな事ないよ、あはは」



が、また言い合いしていた。



「えっと」



「あいつら〜また始めよって」



白砂芽先輩は呆れた様子でいるが、止めたりはしなかった。



「こっちだよ、おいで」



「!」



と、どこにいたのか乙近先輩に突然 声を掛けられて、頭をぽんと軽く触れられる。



「えっどこにですか?」



「んー外」



そういえば、先程からねずみちゃんが早くと言わんばかりの表情をしていた。



何があるのだろう?



「お、乙近先輩!?」



手首を握られ外へと連れられる。



「あ、ちょっと、先に行かないでよ!」



乙近先輩が勝手に外へ連れられる様子に気付き、慌てるかのように白砂芽先輩も2人を置いて外へと出る。



「あ、あの!乙近先輩」



強引に外に出てそのまま歩き続けるので、思わず名前を呼ぶ。



と、ぴたと足が止まる。



でも、突然止まるからびっくりして、そのまま先輩の背中にぶつかってしまう。



「うー急に止まらないでください〜」



と、今度は正面を振り向き、私の顔をじっと見つめては柔らかく笑みを浮かべる。



「………」



よく見るとこの人も蒼兎くんとはまた違うタイプのイケメンな人だ。



あと、背がすごく高い。



どのくらいあるんだろう。



「あ、あの乙近先輩?」



さすがにじっと見つめてこられると居た堪れない感じがする。



「ああ、ごめん。きれいな瞳だなって思って」



「えっそ、そうですか?」



そんな事を言われたの初めてで、少し戸惑ってしまう。



「それよりも」



「?」


そう言って、乙近先輩は指を伸ばしてきた。


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