過ぎる景色を共に
次の日
僕はあなたに呼ばれた


"彼氏と別れた?"


"なんでですか"


"見てたらわかる"


"別れましたよ"


"今日ご飯行くよ"


またか、僕は振り回されてばっかりだ
仕事を終わらせて
僕はあなたと居酒屋に行った

僕はお酒にそんなに強い訳じゃないが
あなたはどんどん進む
なのに何の変化もなく飲み続ける

少しずつ
僕の体が火照ってきた
この際だ
全て酒のせいにできる


"なんで、なんであの日
キスしてきたんですか"


"言ったじゃん
したくなったから"


"でも彼氏もいるじゃないですか
答えになってません"


"彼氏とはもう別れた
なに?好きとか言ってほしいの?"


"別にそんなんじゃないです"


完全に向こうのペースだ
いつもいつも向こうのペースに飲み込まれる


"またキスしてほしいの?"


"違います"


僕は否定した
本当は少しだけ期待していた


"言っとくけど
あたし女の子は恋愛対象じゃないから"


僕は馬鹿だ
期待していた数秒前の自分を殴りたい
昔のことを思い出せばわかる
苦しい思いを何回もしただろう


"そんなつもりないです"


"ふーん、そっか"


"なんで彼氏さんと別れたんですか?"


"好きな人ができた"


"そうなんですね"


会社の人だろうか
それとも自分が知らない人だろうか
真っ直ぐに引かれた線の先へ
僕は一歩踏み出しかけている
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