過ぎる景色を共に
第三章

歯車

あの日から僕は
あなたのことばかり考えている
目で追っている
探している

馬鹿だ
どうしようもない程馬鹿だ


一度進み始めた歯車は
そう簡単には止まらない

自分でもわかっていた
だから気にしないつもりだった

なのにあなたは
僕を呼んではあしらって
訳の分からない行動ばっかり
キスしてきたり突き放したり

気にしないようにしようとしても
無理がある
そんなことされたら嫌でも考えてしまう


あなたのいない日が寂しいと感じてしまう
心をガードしていた鎧は
好きを口にしたら
一瞬で砕け散ってしまうだろう

そしたら
もうこの気持ちは抑えられない
わかっているのに
抑えつけている鎧さえも少しずつ
自ら壊していっている






誰もいない駅のホームで

過ぎる特急電車を前に

僕の口から溢れ出た







"好きだ"

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