ひと夏の恋をキミと
「待てよ。」


いつもならここでやり取りが終わるのに
今日は違った。


「…離せ。」


「それは無理。」


大樹からは怒りのオーラが感じ取れる。
こんなに怒っている大樹は
初めて見た。


…そうさせたのは俺か。


だけど今の俺には
大樹が怒っていようが関係ない。


「…離せよ。」


「だから無理だって。」


お互いどちらも譲らず
張りつめた空気が流れた。


俺と大樹の間に入ろうとするやつはいなかった。


俺はその空気に耐え切れず


「…わかったから。場所変えようぜ。」


大樹も納得したのか
俺らは教室を離れ歩き出した。
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