総長さんが甘やかしてくる③
稔は、屋上にいる俺のところにやってくるようになった。
「この調子だと2学期からは馴染めそうだね?」
「望んでいない」
特別避けていたわけでもないが
クラスメイトとつるむ気は、なかった。
同じ空間にいるようでいないような感覚だったから。
「ツンケンすんなって」
稔のことを物好きでお節介なやつだと思った。
「暴走族ってさ。なにやってんの? やっぱり夜に走りに行くのがメイン?」
それでも
「気持ちいいだろうなー、バイク。スピードこそ違うけど俺も走るのが生き甲斐だからさ」
キラキラした目でそんなことを言う稔に、どこか惹かれていた。
「いよいよ明後日から夏休みかー。×××は、花火大会とか行く?」
「人混みは苦手だ」
「夏祭りで騒いだりしないんだ?」
「さあな」