総長さんが甘やかしてくる③

「こんな俺でもな。失恋なら経験あるんだ。今の君と比べるのもおかしな話だが、叶わない恋をする苦しさも。諦めて幸せを願う気持ちも理解できる」

「適当なこと言わないでよ」

「適当でこんな、こっ恥ずかしいこと言えるかよ」


ふーん。

アンタも、誰かに恋したことあるんだね。


「君はひょっとして幻の幸せを願って身を引いたんじゃないか?」

「……そんな綺麗なものでもないよ。かなわないと、思った」


幻のこと好きなのに。

幻は、あたしの幸せを願ってくれたのに。


幻の友達とこんなことして。

ほんと、なにしてるんだろうね。


「急ぐことはない」


……本当に?


「君は女子なんだから警戒しろ」

「もはや。親みたい」


そんなこと言うならシュウが守ってよ。

なんて。


敵に、なにを期待しているんだか。


「俺はオカン気質らしい」


あはは。

アンタがエプロンしてるとこ、見てみたい。

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