総長さんが甘やかしてくる③
木良の暴走は、カスミが。
サトルの暴走は、スミレさんが。
そして
幻の暴走は、ユウが止められると燐は考えたんだろう
だけど、なあ、幻。
どうしてだよ。
ユウが来たってのに
どうしてこっちを振り返らない?
「サトルさんが暴走族を嫌うのは」
小さな身ひとつで歩き進んでくる、ユウ。
「ミノルさんの怪我と、関係があるんですか」
「そのとおりだよ」
答えたのは、木良だ。
「テメェうちの弟になにしてくれてんだ……!」
「それ以上近づかないでね」
きっとサトルさんは
弟が暴走族に一方的に目をつけられた、と勘違いして憤慨している。
元凶はミノルで
本人が恨みを買ったとまでは考えていない
――というよりは、信じてきたはずだ。