祈り
「じゃあ、行こ!」
私の腕を引っ張る友達。
藤森が小さく手を振ってくれる。
私は頷いて教室を出る。
「何~?アイコンタクト?」
「藤森とデキてんの~?」
友達がニヤニヤして見てくる。
勘違いされたら、大きな声で言われる。
そしたら、私……。
「ち、違うよ!!」
「……へ?」
「藤森なんか、好きじゃない!」
大声で言った事を今さら後悔する。
何を言ってるんだろう。
唯一の味方で、優しい彼を
どうして裏切るみたいに……。
ぎゅっと眼を瞑った。
怖い。
味方が一人減る……?
「お前の事自体藤森は眼中にねーよ」
「マジ自意識過剰すぎだから」
あのグループに睨まれる。
クスクス笑われる。
視線の先には、彼がいる。
怖くて俯いた。
汗が出て汗が出て
ゴミを投げられると思った。
「…………キモ」
藤森の声。
私は絶望した。