純愛でいず。
誰だって、複雑なんだ。
マキの気持ちも分からないわけないけど、怖いんだ...

愛とか大人とか信じるとか...
だから、ごめんな・マキ...―――

「幼児虐待…警察に通報しよっかな...」

マキとマキの母さんはマキの親父に暴力を振るわれてる。
ギャンブルだか何だか知んないけど...

―――プルルル...
あたしはある人に電話をかけた。
昔、あたしはネグレクトを受けた時に保護観察をした保護観察司の峰村さん。
あの人なら...

『もしもし』
「峰村さん?」
『どうしたの?芳ちゃん』
「あのな、隣の子が父親に暴力振るわれてるんすよ…。しかも母親まで」
『それはそうか。今すぐ連絡を取るよ』

峰村さんはそう言い、電話を切った。
これでマキとマキのお袋さんは救われる...―――

そうだと思っていた...――
愛情に飢えていたあたしは、マキに嫉妬してたんだ...
マキは殴られるけど、守ってくれるお袋さんがいる。
あたしは...

              誰もいない―――

味方だった父さんも、
あたしが産まれたと同時に亡くなった実の母さんも、
あたしをおいて男作って出てった母さんも、

誰もいない...―――

―――ガチャ

マキの親父が出たのを確認して、マキとマキのお袋さんに話した...
明日には警察が来ると。

「ありがとね、芳ちゃん」
「いえ」
「…芳ちゃんっ!元気でね」
「あぁ」

素っ気ない挨拶をして、玄関のドアを閉めた...―――
―――翌朝

家を早めに出て、学校に着く。
真っ先に屋上に向かう...―――
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