その誕生日はきっと誰かの特別な日。
何~。
ちょっと待って。

待って、待って、二人は知ってたんだ。
あの日レストランに私が誘われてプレゼントももらうって。

だから全く誘ってくれなかったの?
一人で寂しく帰ったのに、楽しそうな連絡が来たのもそういうこと?

いつの間に・・・・って、なんでそんな友達に協力あおいでるの?

「なあ、返事は今、もらえないのか?」

いきなりそんなトーンを落として言われても。

「別に急がせたりはしないけど、出来たらこれはもらって欲しい。」

パンツの後ろポケットから出したのは見覚えのある細い包み。

しばらく手も出せずにいた。

「なんで?」

「何が?」

「だって知らない、いつも誰とでも仲いいじゃない。別に、私だけ特別って訳じゃないよね。」

「いつも近くにいただろう、一番喋ってたよ、ほとんど最初の頃から。明らかに他の奴より喋ってる。周りに丸わかりなくらいに。今日のメンバーなんかはみんな知ってるよ、多分。」

ああっ、さっき先輩が言ってたのも・・・もしかする?

「一番近くにいた。本当は誰より気に入られてる自信もあった。絶対他の奴には負けてないって思ってた。なのにこの間、あんなに謝られて、自信もなくなったよ。」

「だって、何だか無口になったし、変な空気にしてしまったから、半分は責任があるから。好きな人の代わりにはならなくても、せめて楽しく過ごしたいだろうって分かってても、なんだか全然だったし。」

「別にもういいよ、あの日のことは。今日はちゃんと話をしろって、二人が計画したんだよ。
今頃皆でどうなるか、静かに待ってるかも。」

「なんでよ、帰れないじゃない。」

「俺は手をつないで帰りたい。やっとそうなったって。これもつけてもらいたい。」

「無理無理、無理ぃ、恥ずかしいもん。絶対赤い顔してるもん。揶揄われるもん。」

「嫌そうにすれば千葉が黙らせてくれるよ。俺も言うし。」

待ってよ、返事したことになったじゃない、それはまだだよね、保留はダメなの?

そう思ってるのに、勝手に・・・というか、匠が自分でプレゼントのリボンを乱暴と思える動作で引っ張った。
あああ・・・・・、私が楽しみに開けてもよくない?

つい奪った。

「私が開ける。」

そう言って残りのをリボンを丁寧に外して、深呼吸して開けた。

パカッと開けた。細長いものが出てきて、私の口も開いた。

「小さいけど、光ってるよ。」

「小さいはいいだろうよ。」

「光ってる。綺麗。」

ゆっくり持ち上げる。
それを匠に取られて、後ろに回られた。

「髪をあげて。」

ゆっくり持ち上げた。
ドラマのシーンのような展開にドキドキする。


まだ、返事してないよ?

いいの?

本当にいいの?

考えて髪を持ち上げてたまま。
そのまま後ろから緩く抱きしめられて首筋にキスをされた。
< 16 / 20 >

この作品をシェア

pagetop