二人の距離の縮め方~弁護士は家政婦に恋をする~
「頑固だと嫌われますか?」

芽衣は心を落ち着けたくて、意識して、密着する体を離してみた。

「そういう所も、可愛いんだけど」

学は、芽衣が赤面するような言葉、平然と言ってのける。恥ずかしがって、顔を赤くするのを面白がっているのだ。

「耳まで赤い……」

学はいたずらっ子のように、自らが贈った、芽衣の首にかかるネックレスをいじりながら、朱色に染まった小さな耳に顔を近づける。
唇を押し当て、何度か優しく触れたあと、耳たぶをパクリと食べられた。
声を上げそうになるのを、なんとか堪える。すると、学は面白がるように、芽衣の耳をじっくりと舌で味わいはじめる。ゾクゾクとした痺れに、どうしようもなく熱くなってしまう。

「だめ、」
「どうして?」

敏感になっている芽衣には、耳元で囁かれる声さえ、甘い責め苦だ。芽衣は学の肩にすがるように、シャツをギュッと掴んで、押し寄せてくる震えを受け流そうと身をすくめた。

「だ、だって……」
「恥ずかしがらないでいいんだよ」
「学さん、意地悪です。自分は余裕で……」

自分だけ乱されてくやしい。頬をふくらませると、学が苦笑する。

「僕だって、余裕なんかないよ。でも……だったら、芽衣からもしてくれると嬉しい」

懇願するように言われて、芽衣に新しい興奮が芽生えた。

「キスでいいですか?」

学がこくりと頷くのを確認すると、躊躇なく自らの唇を学の運んだ。自分からキスをするのは初めてだ。
いつも学がしてくれるように、優しく吸い上げた後、唇を割って舌を割り込ませる。学の舌を探り当て、夢中になって絡ませた。

「……んっ」

もっともっと、激しく深く。羞恥心を吹き飛ばすほど、芽衣はその行為にのめり込んでいく。
ふと、また自分だけ昂っているのかと不安になり、閉じていた瞳をうっすらと開けてみる。そこには恍惚とした表情を浮かべる学がいた。

ドクンと、大きな鼓動と共に、内から喜びが湧き上がる。男性の艶っぽい表情は美しいのだと知った。こんな顔をさせているのが自分だと思うと、嬉しくてたまらない。彼がこんな顔をしてくれるなら、どんな大胆な事だってできる。

芽衣は、名残惜しそうに唇を離すと、学の肩に顔を埋めた。
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