眠り姫
「じゃあ、戻るね?」

準「ああ、車椅子忘れんなよ」

ギクッ。

背中に冷や汗が出て車椅子に乗る。

「先生って良い先生なんだね?」

準「何故だ?あんな酷いことしたのに…」

「だって、子供は嘘つかないもん。みんな、先生のこと慕ってるしね」

準「そんなことないと思うけどな」

「気づいてないだけだよ。じゃあ私戻る〜」

そう言って、私は皆んなの元に戻った。

智樹「お帰り〜」

菜草「お帰りなさーい」

康太「お帰り」

「ただいまー」

智樹「なぁ綾、準先生にさっき団体か個別どっちが良いか聞かれてただろ?」

「うん」

智樹「何で、団体にしたんだ?」

「ずっと、個別だったから団体の方がいいなって」

菜草「本当〜?団体にしてくれて嬉しいー」

「私も菜草ちゃんに会えて嬉しい」

菜草「智樹と違って綾は良い子だね」

智樹「どういうこと?」

菜草「治療サボる智樹と違って綾ちゃんは良い子だねってこと!」

智樹「貴様ー!」

智樹が菜草を追いかけはじめた。

二人を見ていると、

康太「綾ちゃん聞いても良い?」

「ん?どしたの?」

康太「綾ちゃんを僕達全然見なかったなって」

「あっ、それは此処の棟じゃなかったから」

康太「そうなんだ、ありがとう」

「じゃあちょっと、寝るわ」

そう言って立とうとすると、菜草が

車椅子を抑えてくれた。

「あ、私足悪い訳じゃないから大丈夫だよ」

菜草「あっそなの」

「うん、準先生の命令なんだ」

智紀「そんな命令大変だな」

「そう、めっちゃ大変」

菜草「そう言えばさ、準先生って向こうの病棟の先生じゃん?」

「うん」

菜草「綾の担当医変わるのかな?」

「えっ、病棟変わると先生変わるの?」

菜草「そだよ、だから準先生久しぶりなの」

「準先生から変わるのかな?分かんないや」

菜草「どだろうね〜」

「夜の検診の時に聞いてみるわ」

菜草「そうしてみて〜」
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